■九州産業大学との共同研究「ZEAL動作電流評価」
当ページでは
九州産業大学情報科学部田中先生と研究室の学生の皆様による研究「ZEAL動作電流評価」
についてご紹介します。
そもそも田中先生は当社のお客様の一人として、ご自身の研究
「Bluetooth通信を用いた低コスト・セキュリティシステムの構築」
にZEALを御利用頂いておりました。
この度、田中先生からご提案をいただき、
当社エイディシーテクノロジーと九州産業大学の共同研究という形でZEALについて評価をして頂くことになりました。
尚、共同研究は今後引き続き行われる予定となっており、
当ウェブサイトにて随時研究成果をご紹介させて頂く予定となっております。
本研究・参考文献の詳細につきましては、
当社、または以下までお問い合わせください。
| 九州産業大学情報科学部知能情報学科 |
| 田中康一郎様 |
| Email: |
 |
| Telephone: |
092-673-5432 |
以下、
「動作電流」についての報告です。
2008年度前期成果報告:ZEALの動作電流評価
九州産業大学情報科学部 田中 康一郎 氏
田中 竜司 氏
富永 晃司 氏
安武 芳紘 氏
報告書のPDF版はこちら
1.はじめに
本報告書では,2008年度に九州産業大学で行われたZEALの動作電流に関する調査結果について報告する[1].
評価対象は,ZEAL-C01(以下C01)とZEAL-S01(S01)の2つである.
以下, 評価環境, 動作電流の測定方法, 動作電流の測定結果を示し, 最後に簡単にまとめる.
2.評価環境
ZEALの動作電流を測定するために,ZEALがスタンドアロンで動作できる簡単なシステムを構築した.
このシステムには,FPGA (Xilinx Spartan-3E FPGA[2])が一つ搭載されており,
ZEALと直結することができるように構成してある.
そのためFPGA内に実装した回路で,ZEALを直接制御することが可能である.
このシステムを用いたZEALの動作電流測定には,三和電気計器のデジタルテスタであるPC5000[3]を用いた.
このテスタは同社の測定用のソフトウェア(PC Link Plus)とUSBケーブル(KS-USB2)とを組合せることで,
パーソナルコンピュータ(PC)上で測定結果を保存することが可能となり,簡易的な電流測定器として利用することができる.
ただし簡易的なため,1秒間に数回しか動作電流を測定することができない.
3.動作電流の測定方法
本報告では,ZEALの通信ボーレートの違いによる動作電流の違いについて調査することとした.
そのため,パラメータによってボーレートを変更できる回路をVerilog HDLで記述し,
そのコードから生成された回路をFPGAに実装することで評価を行った.
このHDLコードは次のような動作を行う.
なおFPGAは起動時のZEALのボーレートは,9,600bpsであることを想定している.
| 1. |
起動後,数秒後にZEALに対して,ボーレートの設定を行う.(例:"BTB4608") |
| 2. |
その後,FPGA内部の回路の通信ボーレートをZEALと通信できるように変更し,
ZEALに対して受信モードのコマンド("BTA")を送信する. |
| 3. |
数秒後,データを送信し,FPGAとZEAL間のデータ通信を開始する. |
| 4. |
最後に,ZEALとBluetooth機器(今回はPDA)をBluetoothで接続し,通信を開始する. |
上記のような手順でデータを送信し,その工程の動作電流の測定を行うことで,ZEALの動作電流測定を行った.
なお,ZEALとFPGA間の通信プロトコルは,フロー制御を行うRS-232C通信となるため,
FPGAではデータ送信を停止する機能も備えている.
4.動作電流の測定結果
前述した測定方法に基づき,C01の動作電流を測定した結果を図1に示す.
測定したボーレートは,9,600,19,200,38,400,57,600,115,200,460,800bpsの6つである.
このグラフの縦軸は動作電流(Electric Current (mA))であり,横軸は時間である.
この結果から,C01では,起動時と,ボーレートの設定を変更した後に待受けモードになる時までは
動作電流はほとんど変化なく9mA程度であることが確認できた.
次にFPGAとZEAL間が通信を開始すると,動作電流が大きくなることが確認できた.
ただし,その時の動作電流は,ボーレートに比例するわけではなく,
57,600bpsと115,200bpsを境に44mAと70mAに変化することが分かった.
最後にBluetooth通信を開始するとその動作電流はさらに大きくなり,
ボーレートが57,600bps以下では60mAから70mAまでを変動し,
ボーレートが115,200bps以上では90mAから95mAまでを変動することが確認できた.

図1 C01(ファームウェア Ver. 2.0.1.17)の動作電流
次に,図2にS01の動作電流の測定結果を示す.
測定したボーレート,グラフの縦横軸に関しては,図1と同様である.
C01では,57,600bps以下と115,200bps以上で動作電流が異なったが,
S01ではそのような傾向は確認できなかった.
S01では,機動時と待受けモード時で若干の動作電流の増加が確認された.
またFPGAとZEALが通信を開始した時は,20mAから50mAまでの30mAの変動が確認された.
ただし,実際のBluetooth通信が始まるとその幅は小さくなった.

図2 S01(ファームウェア Ver. 2.0.0.3)の動作電流
最後に,図3にC01とS01の比較結果を示す.
C01はクラス2(10m程度の通信距離)のBluetoothデバイスであり,
S01はクラス1(100m程度の通信距離)であるため,C01の方がS01よりも動作電流が小さいと考えていたが,
今回用いたファームウェアではそれとは異なる結果が確認された.
一方,通信時の変動に関してはS01はC01よりもかなり大きいことが確認された.

図3 ZEAL-C01とS01の通信性能評価
5.まとめ
本報告では,C01とS01の動作電流評価を行った.
今回の評価では,クラス1のS01の方がクラス2のC01よりも省電力であるとの結果が出たが,
次回のC01のファームウェアでは,動作電流が大きく削減されると言われているため,それを大変期待している.
また,S01に対しては,通信中の動作電流の変動が大きい点が気になったため,
次期ファームウェアでは改善されていることを期待している.
最後に,本調査を行うにあたり,Bluetooth通信が行われていない状況でFPGAからZEALに対してデータを送信した場合,
フロー制御によってすぐにFPGAからの送信が停止すると考えていたが,
実際はそのようなことはなくそのデータは送信されないままロストしていた.
既にそのような機能は搭載されているかもしれないが,もし搭載されていないのであれば,
全てのデータを転送するような仕様を期待したい.
参考文献
[1] 田中 竜司, 富永 晃司, 安武 芳紘, 田中 康一郎: 小電力無線機器の実現に向けた汎用無線通信モジュールの電流測定,
平成20年度電気関係学会九州支部連合大会(第61回連合大会)講演論文集, pp.11-2A-03(2008)
[2] Sanwa Electric Instrument: http://www.sanwa-meter.co.jp/japan/product/dmm/pc5000.htm
[3] Xilinx: http://japan.xilinx.com/
本研究・参考文献の詳細につきましては、
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