BluetoothとZigBee、メーカーエンジニアがどちらを使うか迷った時、たった一つの判断基準とは?(2016年版)

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こんにちは、無線化.comカスタマーサポート担当の清水です。今回は、メーカーエンジニアが無線規格を選ぶときの判断基準についてアドバイスしたいと思います。

BluetoothとZigBeeの比較Image Title

無線通信させたい相手機器は何ですか?

メーカーエンジニアが自社製品に搭載する無線モジュール(無線規格)を選ぶとき、最も重要なのは、自社製品と無線通信させたい相手機器は何か?という点です。

メーカーエンジニアの方から、
「自社製品に無線機能を搭載したいのですが、BluetoothとZigBee、どっちを使えば良いですか?」
とか、
「無線規格を比較検討するために調査中です。BluetoothとZigBeeそれぞれの特徴を教えてください」
というようなご相談を受けることがあります。

この時、まず私が聞くことは、
「通信相手として検討している機器は何ですか?」
ということです。

ここで、「スマホ(タブレット)」という答えが返ってきたら、「じゃあBluetoothですね」と即答します。
そうなんです、通信相手機器にスマホを想定している時点で、ZigBeeという選択肢は消えてしまうんです。通信相手が決まっていれば、自ずと選ぶべき無線規格も定まってくるということです。

通信相手がスマホ(タブレット)なら、Bluetoothか無線LANの2択

多くのスマホやタブレットに搭載されていて、且つ、メーカーエンジニアが比較的自由に利用できる無線インターフェースはBluetoothと無線LANの2つのみです。つまり、通信相手機器にスマホを選んだ時点で、選択肢はBluetoothと無線LANの2択に絞られます。さらに、Bluetoothと無線LANは機能や性能面が全く違うため、アプリケーションの用途に合わせれば、自ずとどちらを選ぶべきか定まると思います。BluetoothとZigBeeで迷うような無線用途の場合は、おそらくBluetoothが良いということになるでしょう。

このように割り切れるのは、BluetoothにBLE(Bluetooth Low Energy)が登場したことが大きいです。以前のSPPとZigBeeとの比較では、無線の機能や性能に違いがあったため、無線用途に応じて使い分けするのがセオリーでした。しかし、ZigBeeに非常によく似たBLEが登場したことによって、どちらを使っても無線用途的には大差なく扱うことができるようになりました。こうして、通信相手に合わせて選ぶことができるようになったわけです。

無線通信させたいのは、自社製品同士 or 他社製品&市販品?

では、通信相手機器がスマホ以外の場合はどうでしょうか?一つの判断基準となるのは、無線通信させたい相手は自社製品同士なのか否か?という点です。

既製品と通信できるのがBluetoothの最大のメリット

自社製品にBluetoothを組込む最大のメリットは、他社製品 / 市販のBluetooth機器(以下、まとめて既製品)と通信できる点にあります。自社製品にBluetoothを組込むことで、こんなことができるようになります。

  1. 自社の計測器のデータを、Bluetoothで取り込んでiPadに表示(従来は、計測器とパソコンを有線接続で取り込み)
  2. 自社の制御用ロボットを、Bluetoothを使って、iPhoneから遠隔コントロール(従来は、自社で専用リモコンも開発)

1の例では、データ取り込み方法が有線から無線に置き換わり、且つ持ち運びしやすい軽量なタブレットになることで操作性も向上しました。2の例では、自社で開発していた専用リモコンをiPhoneに置き換えることで、ハードウェア開発が不要になり、設計費や金型費用など、大幅なコストダウンが実現できました。リモコン側はアプリ開発だけで済むようになるわけです。スマホを通信相手に選ぶことで、ユーザーの満足度が向上したり、コストダウンを実現できたりする、これがBluetoothを選ぶメリットです。

ZigBeeは相互接続性を気にしなくて良いのがメリット

一方、通信相手に既製品を用いない、つまり自社製品同士で通信させるのであれば、Bluetoothを使う最大のメリットは失われます。そうなれば、Bluetoothより比較的モジュール単価が安いZigBeeで十分ということになってきます。

また、自社製品同士で通信させるということは、相互接続性を気にしなくて良いということになります。これはこれで大きなメリットです。Bluetoothは最大のメリットである相互接続性を確保するため、仕様がガチガチになっており、用途に合わせてプロトコルをいじるようなことはできません。アプリケーションを「Bluetooth」に合わせなくてはならないのです。対してZigBeeは各社の独自仕様になっているモジュールが多く、用途に合わせてプロトコルをカスタマイズできる場合もあります。さらに、他社機器とつながらないということは、セキュリティ面の対策もしやすいということになります。

無線規格を先に決めるのはダメ。まず決めるべきは通信相手。

これまで数多くの無線化相談を受けてきましたが、各無線規格の機能や性能面を比較し、先に無線規格を決めてしまっている案件というのは、なかなか実現に至らないケースが多かったように思います。なぜかというと、そもそも今現在の技術において、「この無線を選んでおけばどんなシチュエーションにも適用できる!」というような完璧な無線規格は存在しないからです。どの無線規格も一長一短なわけです。なので、どの無線規格を選んだとしても、何かしらの不満点が出てきてしまいます。そんな不満が出てきた時に、先に無線規格ありきで進めていた場合、「あっちの無線規格だったらうまくいったかも・・・」と隣の芝生が青く見え、迷いが生じてしまいます。この迷いこそが、案件そのものに対する疑念へと姿を変え、案件を頓挫させてしまうようです。

「その無線規格で何ができるのか?」ではなく、まず通信相手を選ぶことで無線規格が定まり、その無線規格に合わせて、都度アプリケーション側の通信仕様を調整する、というのが実現しやすい無線化のアプローチです。

先に無線規格を決めてしまうと、こんな失敗例も・・・

最後に、こんな失敗例をご紹介します。「そもそもそんな商品は世の中に存在しない」という落とし穴です。

ごく稀ですが、「Class3対応のBluetoothモジュールはありませんか?」というお問い合わせをいただきます。Bluetoothについて調べていると、「Class」という概念があることを知り、「ごく近距離で通信させたい」ということから、「Class3が最適」と考えたようです。しかし残念ながら、当社でClass3のBluetoothモジュールは扱っていません。というよりも、そもそもClass3対応のBluetooth機器というものを見たことがありません。おそらく市場ニーズがないので、そのような商品は存在しないのでしょう。「もっと飛ばしたい!」というニーズはよくありますが、「こんなに飛ばしたくない!」という要望はほとんどありません。あったとしてもごく少数でしょう。

無線規格としてはそのような仕様、機能が用意されていたとしても、それが「商品」として実現されているかどうかは別問題です。技術的には実現できても、商品として「売れない」、「ニーズがない」と判断されれば、メーカーはそのような商品を販売しないのです。これも無線規格ありきで進めてしまった場合の落とし穴です。自社で無線部分の設計から手がけるのであれば別として、市場に出回っている無線モジュールを利用したいのであれば、存在する「商品」の中から選ぶ必要があるのです。

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