BluetoothとZigBeeの違い

BluetoothとZigBeeは似て非なるもの

どちらの無線規格もメリット・デメリットをあわせ持っています。
それらは補完関係にあるため、無線化に必要な条件を明確にすることでおのずと選択肢は限られてきます。
それぞれの特徴を理解し、用途に応じて使い分けることが重要です。

近年、組込み機器開発に利用される無線規格として、BluetoothとZigBeeの2つが挙げられます。
2.4GHzという同じ周波数帯(ISM帯)を利用し、「低速」「近距離」「低消費電力」と似たような特徴を持つことから、何かと比較されることが多いBluetoothとZigBeeですが、それぞれがメリット・デメリットとなる特徴をあわせ持っており、それらは双方のメリット・デメリットを補完するようなものであることから、検討している無線用途に必要な条件を明確にしていくことで、おのずとどちらの無線規格を選べば良いのかしぼられてくるケースも少なくありません。
まずはそれぞれの特徴をしっかりと把握することが、失敗しない無線化への第一歩となります。BluetoothとZigBeeの比較

BluetoothとZigBeeの比較

それでは各ポイントごとにBluetooth、ZigBeeそれぞれの特長と比較をご説明していきます。

消費電力

一般的にはZigBeeのほうがBluetoothと比べてより省電力であると言われることが多いようですが、「ある使用条件下においては省電力」という認識が正しいといえるでしょう。

BluetoothもZigBeeも同じ周波数帯の無線ですので、データ伝送時の消費電力に大きな違いは現れません(もちろん製品差はあります)。では違いが現れるのはどこか、それは「スリープからの復帰時間の短さ」です。

Bluetoothにもスリープ機能はありますが、ZigBeeのスリープ時の待機電力はBluetoothより小さく、その上、復帰からデータ送信までに要する時間も数十msec程度と非常に短いと言われます。よって普段はスリープ状態で待機させておき、データを送りたいときだけ短時間で復帰させ、データ送信後にはスリープ状態に戻る、というような使い方がZigBeeの省電力性を十分に活かせる「使用条件下」といえます。

一方、Bluetoothはスリープからの復帰に1sec程度、そこから接続してデータが送れる状態になるまでに2~3sec程度要しますので短い間隔でスリープ状態にするような使い方には適さず、一度接続したら接続しっぱなしでデータ伝送を行うか、一定時間以上データ伝送を行わないようであれば、スリープにせず、モジュールの電源自体落としてしまったほうが節電につながります。

ZigBeeの省電力性を活かすためには注意が必要です

前述のようにZigBeeの省電力性を活かすためにはデータ送信間隔が十分に空いていることが条件となります。逆を言えば、十分な送信間隔が設けられない場合には、あまり省電力性に期待することができません。さらにスリープ状態にあるデバイスを相手デバイスから起こすことはできないため、スリープ状態にあるデバイスへデータを送ることはできません。双方向通信が必要な場合には注意が必要です。

相手機器

Bluetoothを採用する大きなメリットの一つとして、通信相手機器に既製品のBluetooth機器を流用できる点があります。片方は組込みモジュールを組込んだ専用機器を、その通信相手機器にはBluetooth内蔵のスマートフォンや携帯電話、またはPCや安価に入手できる外付けのUSBドングルを利用することで相手機器側はアプリケーション開発だけ済み、ハードウェア開発に要する工数やコストを大幅にカットすることが可能となります。これは搭載機器の種類が多いBluetoothの大きなメリットといえます。

一方、ZigBeeは市販の搭載機器があまり多くないため、双方にZigBeeモジュールを組込むような専用機器同士でのシステム構築に向いています。

同時接続台数

ZigBeeは複数台同時接続を得意とする無線規格です。ひとつのZigBeeネットワークには、最大で65,536台のZigBee端末を接続することが可能で、1台のコーディネータから複数のエンドデバイスにブロードキャストでデータを送ることができる上、各エンドデバイスに個別に送ることも、逆にエンドデバイスからコーディネータへデータを送ることも可能です。また、ルータを使うことでメッシュ構造のネットワーク構築やバケツリレーのようなデータ転送も実現可能です。

一方、Bluetoothには1台のマスター機器に対して最大7台のスレーブ機器を同時接続できるピコネット機能が備わっています。PC1台に対して複数台の専用端末とのBluetooth通信を例に挙げると、それぞれのBluetooth接続に対して1つずつCOMポートが割り当てられますので、イメージとしてはPCから端末台数分のシリアルケーブルが伸びているような状態となります。それぞれの接続は独立していますので、同時接続といっても処理は時分割で行われることになり、数msecや数十msecオーダーのタイムラグが許容されないようなブロードキャストには適しているとはいえません。

特長を活かした組込み機器への適用例

組込み機器への適用例として、Bluetooth、ZigBeeそれぞれの特色を活かした実例をご紹介いたします。

リモコン

ZigBee → テレビのリモコン

テレビのリモコンテレビのリモコンには、ボタンを押されてから反応するまでのレスポンススピードが要求されますが、同時に電池の長寿命化も命題としてあります。ZigBeeであればスリープからの復帰時間が短いため、基本的にはスリープ状態で待機させておき、ボタンが押されたときだけデータを送るために復帰し、またすぐスリープさせるという使い方が可能となります。レスポンスと電池寿命の両方を満たせる上、ON/OFFの小さいデータであれば速い通信速度は要求されないため、ZigBeeの特徴を最大限に活かした使い方といえます。

Bluetooth → ゲームのコントローラ

ゲームのコントローラ最近のゲームコントローラにはモーションセンサーが組込まれており、センサー情報を絶えず本体へ送っています。接続しっぱなしの使い方であればBluetoothのほうが通信速度の速さを活かせます。また、本体から送られてきた垂れ流しのデータをコントローラのディスプレイにリアルタイム表示させる場合など、双方向通信を活かしたシステム構築も可能となります。

データ収集

例えば、ある計測機器の計測データを収集するシステムを考えます。

Bluetooth → 対既製品(PCやスマートフォン等)

PCやPDAで集める場合、Bluetoothであれば内蔵のBluetooth機能や外付けのBluetoothドングルを利用することができます。計測機器側には組込み用のBluetoothモジュールを搭載します。既製品を流用することで開発期間の短縮とコスト軽減が期待できます。また、シリアルケーブルを使った既存システムからの置き換えであればアプリケーションもほとんどそのまま流用できるでしょう。

ZigBee → 組込み機器同士

組込み機器同士の通信で、且つ数多くの機器と接続させるのであればZigBeeも選択肢として考えられます。Bluetoothも同時接続は7台まで、それ以上の場合は都度接続相手を切り替えることで仮想的に8台以上の機器と通信させることができますが、ZigBeeであれば同時に8台以上の機器と通信させることが可能です。また、ホスト機器からブロードキャストで一斉に計測機器へ指示を出し、データを集める、というような使い方はZigBeeのほうが得意といえるでしょう。

まとめ

ZigBeeの特長

ZigBeeはスリープ時の待機電力がとても小さく、また復帰時間も非常に短いことから、ある一定間隔を空けてデータ送信を行うような無線システムに向いています。普段はスリープ状態で待機させておき、データを送りたいときだけ短時間で復帰させ、データ送信後にはスリープ状態に戻る、というような利用方法がZigBeeの省電力性を十分に活かした使い方といえます(逆を言えば、十分なデータ送信間隔を設けられない場合、省電力効果はあまり期待できません)。

また、最大65,536台同時接続が可能なネットワーク容量を活かして、複数のセンサー情報を同時に収集するようなシステム(例えばモーションキャプチャなど)は、現状ZigBeeを選択するのが最適でしょう。

Bluetoothの特長

一方Bluetoothを選択する一番のメリットは既製品のBluetooth機器を流用できる点にあります。片方は組込みモジュールを組込んだ専用機器、その通信相手機器としてスマートフォンやPC、携帯電話を利用するのであればアプリケーション開発だけ済み、ハードウェア開発に要する工数やコストを大幅にカットすることが可能となります。

また、通信距離の長さや干渉への強さは、より正確なデータ通信が必要となる、計測データや各種センサー情報の無線通信に向いており、Bluetoothの周波数ホッピング方式は周囲の無線機器へ与える影響も小さくなることから、各種無線機器が混在するような環境でのデータ通信に優位性を発揮するといえるでしょう。

Bluetooth ZigBee
優位性
  • Bluetooth搭載既製品のシステムへの流用
  • ホッピング、AFHによる干渉への強さ
  • 通信距離
  • スリープからの復帰の速さ(省電力性)
  • メッシュ構造やバケツリレーなどの複数台同時接続
デメリット
  • 接続、切断時間の長さ
  • 既製品の流用が困難

どちらを使うか迷ったら?

検討中のシステムにBluetoothが良いのか、ZigBeeのほうが適しているのか、はたまた別の無線規格がベストなのか、どれを選べばよいのか迷った場合は無線化.comまでお気軽にご相談ください。

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