組込み用無線モジュールにおける無線規格の選び方

すべての無線規格にメリット・デメリットがあります

一長一短の無線規格の中から検討している無線用途に合わせて
適切な規格を選ぶことが失敗しない無線導入の第一歩です
 

ひと口に無線といっても、現在では様々な無線規格が存在します。世界的に仕様が定まっている無線規格もあれば、各社独自仕様の無線モジュールも存在します。
それぞれの無線規格には特徴があり、どの無線規格にもメリットとデメリットが存在します。 残念ながら現在市場に出回っている無線規格の中に、全ての条件を満たすような完璧な無線規格はありません。 よって一長一短の無線規格の中から検討している無線用途に合わせて適切な規格を選ぶことが失敗しない無線導入の第一歩となります。

外せないポイントはどこですか?

以下に、無線規格を選定する上でポイントとなる項目をいくつか挙げました。 それらの項目の中で優先順位を決め、絶対に外せない項目にマッチする無線規格を選定しましょう。 時には、優先度が低い項目には目をつぶることも重要です。

通信距離

1m?数m?10m?100m?数百m?1km以上?
まずはどれくらいの距離を飛ばしたいのかによって選ぶ無線規格が限られてきます。

遠くへ飛ばせる無線規格は必然的に限られますが、「大は小を兼ねる」という考えで通信距離ができるだけ長いものを選ぶというのはあまり適切な選択ではありません。遠くへ飛ばせるということはそれだけ電波出力が大きくなり、その分消費電力も大きくなります。また、周辺機器へ与える影響が大きくなることが予想されます。
希望の通信距離に適切な無線規格を選ぶことが重要です。

Bluetoothなら1~100m、無線LANなら1~1km以上、ZigBeeなら1~30m、 IrDA(赤外線)なら1~10mなど、無線規格ごとにある程度の目安がありますが、 各規格内でも製品によって通信距離が異なる場合があるため注意が必要です。

通信速度

送るデータ量によっては通信速度も重要となってきます。大容量のデータを短時間で送るのであれば、通信速度(スループット)が速くなければなりません。しかし、通信速度も通信距離同様、速ければ速いだけ良いという訳ではなく、ボーレートの設定値によってはその分消費電力が大きくなってしまうことがあるため、バッテリー駆動の場合には適切なボーレートを選択し、通信速度と消費電力のバランスを取ることが重要です。

消費電力

バッテリーや電池駆動をご検討の場合には、消費電力が重要となってきます。
基本的に電波出力が大きくなれば、その分消費電力が大きくなってしまいますので、通信距離が長くなればなるほど、消費電力も大きくなってしまいます。 またそれは通信速度にも言えることで、通信速度が速くなればなるほど消費電力が大きくなる傾向にあります。

現在の無線技術では双方を同時に実現することが難しいため、通信距離・通信速度を取るか、消費電力を取るか、どちらかを取捨選択をしなければならないケースも少なくありません。
やはりClass2よりClass1のほうが消費電力は大きいのですか?

1対1接続?1対多接続?接続相手数は?

同時接続台数が1対1接続なのか、1対複数台接続なのか、それによっても選ぶ無線規格が異なります。 通常の1対1接続に加え、Bluetoothならピコネット機能により1対最大7接続、無線LANやZigBeeであれば1対多接続が可能です。ただし、本当に1対多接続でなければならないのか、それは利用用途次第です。

ここでいう「1対多接続」とは「1対多常時・同時」接続のことを意味します。例えばデータ垂れ流しのようなデータ通信の場合は「常時接続」である必要があります。しかし、データ通信が行われない時間がある場合は常時接続である必要がなく、必要なときだけ接続すれば良いことになります。もし後者のような無線通信を検討している場合には「仮想1対多接続」を使うことによって選べる選択肢の幅を拡げることができます。
ピコネットとは何ですか?
ZEALは1対多接続できますか?

仮想1対多接続とは?
1台のホスト側機器が通信させる時だけ相手クライアント機器と接続し、通信が終わったら次のクライアント機器に接続を切り替えることで、つまり「接続-データ通信-切断」を繰り返すことによって、あたかも「1対多接続」のようにシステム構築する方法です。この方法であれば常に状況としては1対1接続となるため、1対多接続に対応していない無線規格でも複数台のクライアント機器と通信させることが可能となります。

干渉

無線である以上、ある程度周辺機器へ与える影響や、逆に周辺機器から受ける影響は無視できません。
利用している周波数帯も一つの目安になりますが、同じ周波数帯の中でも各無線規格特有の仕様により、その影響度は異なります。

例えば、Bluetoothはホッピング機能により、自動で使用する周波数を変えて通信するため、他の無線規格に比べ干渉に強いと言えます。 一方、無線LANは特定の周波数を使うため、周辺機器からの影響を受けやすい反面、周波数を固定することで高速データ通信を実現しており、 一概にホッピングするBluetoothが優れているというわけではありません。 やはり干渉に関しても他の選定ポイントとの取捨選択が必要となります。

市販品と接続?自社製品同士?

Bluetoothや無線LANであれば、既に搭載されている市販品が非常に多く、それら既製品を用いたシステム構築が可能となります。 例えば「Bluetooth内蔵のPDAや携帯電話を使って自社製品を操作する」、「Bluetooth内蔵PCへ測定データを転送する」、「無線LAN内蔵ハンディターミナルを自社製品と連携させる」など、既製品を用いることでシステム構築の可能性はグンと広がり、ハードウェア開発を行わなくても良いという大きなメリットも生まれます。
逆を言えば、自社製品同士を通信させるのであれば、Bluetoothや無線LANである必要はありません。

国内だけの利用?海外での利用は?

海外利用の可能性があるならば、Bluetoothのように世界統一規格のほうが何かと便利です。
国によって電波法は異なるため、世界共通規格の無線でない場合、国によっては使用できないことがありますのでご注意ください。 また、ZigBeeのように使用できる周波数が複数あっても、全世界で使える周波数と、国によって使用が制限される周波数に分けられる無線規格もあります。

まとめ

以上のように無線規格選定のポイントをいくつか挙げましたが、選定のポイントはこれだけではありません。 重要なポイントの一つとして「条件を満たす製品があるかどうか」という点があります。無線規格としては条件を満たしていても、それを十分に満足する製品が市場に無ければ意味がありません。 こちらでご紹介した選定ポイントを参考に、いろいろな製品をお探しいただくことをおすすめ致します。

無線規格選びのポイント
  • 全ての無線規格は一長一短があります
  • 検討中の無線システムにおいて、「絶対に外せない条件」を認識し、それを実現できる無線規格を選びましょう
  • 時には全ての条件を満たす無線規格が存在しない場合があります。その時には割り切ることも重要です。